偽アカシヤ年代記　

「偽アカシヤ年代記」は、未だ書かれざる作品「G.E.M（仮題）」の後日談である。
なぜ、後日談が先に書かれるようになったかは、諸事情による(笑)。
物語の約半世紀前、「G.E.M（Green Eyed Monster)」にて書かれる（ことになるであろう）事件があり、その終焉とともに、井光市を席捲した、一種の疑似宗教的な集団「聖霊騎士団」は解散を余儀なくされた。
それは電脳空間に構築された聖堂であり、教団であり、井光をネットワークする１勢力であった。
塔家の介入により、教団は解体されたが、その論理資産と「物語」の余波は、あたかも呪詛のごとく井光に残留し、塔家の力をもってしても、その怨霊的な言説は焉むことがなかった。「いつの日にか、我れ、井光に再臨せん」、との言葉は、まさしく電脳空間内とそして外に、言霊として、井光に根深く、遺されたのである。

半世紀が過ぎ、過去の亡霊が復活する。
＜未知の上位ロッジ＞からの使者が訪れるだろう。
そして、井光は、一時的な権力の不在状況にあって、この僭主的存在をどうすることもできない。

カバラの秘法が、井光の霊的フィールドを内側から食い破る時、井光の、否、この宇宙全ての破滅へのセコンドが刻まれ始める。

なお、この物語は、パゾリーニ監督の「テオレマ」を本歌取りとしている。
龍胆寺桀(りゅうたんじ・すぐる)は、テレンス・スタンプ演じる再臨せる基督であり、薄倖の美少年、冬城如矢(とうじょう・ゆきや)は、北イタリヤのプチブル家族の誰に相当するのか、それは、読者の想像にゆだねたい。

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Last Updated: 2009.08.25

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